下図のような表があったとします。本当はもっと、横長の表をイメージしてください。ここでは画面の都合上「4月」と「5月」のデータしかありませんが、実際はこんな感じで12ヶ月分あるような。
このような表で、「前期」「今期」「伸び率」の3項目を常に表示させるのではなく、「各月の伸び率だけ表示させたい」というようなとき、よくExcelの解説本では、アウトライン機能が紹介されます。この表にアウトラインを設定すると、次のようになります。
確かにアウトラインを設定すれば、下図のように、特定の行や列を折りたたむことで、表示を切り替えることが可能です。
アウトラインを手動で設定するには、Excel 2003までは[データ]-[グループとアウトラインの設定]の[グループ化]や[グループ解除]を実行します。Excel 2007以降なら[データ]タブ[アウトライン]グループの[グループ化]ボタンや[グループ解除]ボタンです。
【Excel 2003まで】
【Excel 2007以降】
また、上図で分かるように、アウトラインを自動的に作成する機能もあります。しかし、やってみれば分かりますが、アウトラインを手動で作成するのは難しいです。特定の行や列に[詳細表示]ボタンを作成するのは意外と面倒ですし、アウトラインの自動作成は、必ずしも期待するようなアウトラインを作成してくれるとも限りません。ちなみに、アウトラインの自動作成では、リスト内で使われている「計算式の参照状況」をもとにアウトラインを作成します。
ビジネスの現場では、よくこうした、画面に表示しきれないほど大きい、横長や縦長の表が使われています。もうちょっと考えて作ればいいのに・・・と感じることも少なくありません(笑)。まぁ、できるだけたくさんのデータを集計・分析したい気持ちもわかりますけど。そんなとき、アウトラインで表示を切り替えるのも手ですが、意外とアウトライン機能の認知度は低いです。その理由は、おおむね次の3点ではないかと推察します。
2.の理由はよく耳にしますが、何よりも「連続した行や列でないとグループ化できない」のが致命的ですね。ビジネスの現場で使われている生のデータは、決して解説本のようにシンプルではありません。アウトライン機能で対応できないような複雑なリストで、表示をワンタッチで切り替えたいのなら、Excelにはユーザー設定のビューという機能もあります。
実際にやってみましょう。まず、表示したいパターンを作ります。下図は「今期」以外の列を非表示にしたところです。
この状態で、[表示]メニュー(タブ)の[ユーザー設定のビュー]をクリックします。実行すると[ユーザー設定のビュー]ダイアログボックスが表示されます。
[追加]ボタンをクリックすると、[ビューの追加]ダイアログボックスが表示されますので、[名前]ボックスに任意の名前を指定します。ここでは「今期実績」としました。
これで、「今期実績」という名前のビューを登録できました。同様に、下図のように行や列を隠した表に「関東地区伸び率」というビューを登録します。
これで準備完了です。あらかじめ登録したビューに切り替えるには、[表示]メニュー(タブ)の[ユーザー設定のビュー]をクリックして表示される[ユーザー設定のビュー]ダイアログボックスで、ビューを選択して[表示]ボタンをクリックします。
アウトライン機能よりも柔軟なレイアウトを登録できますし、何より画面も狭くなりません。また、このユーザー設定のビューは、印刷の設定を登録することもできますし、オートフィルタで絞り込んでいる状態を登録することも可能です。
非常に便利で強力な「ユーザー設定のビュー」ですが、難点は、ビューを切り替えるとき、毎回ダイアログボックスを開かなければならないということです。しかも、[表示]ボタンをクリックするとダイアログボックスは閉じてしまいますので、別のビューに切り替えるときには、まだダイアログボックスを開くと・・・これは、ちょっと面倒くさいです。
実は、Excel 2003までなら、もっと簡単にビューを切り替えることができます。
これで、いちいちダイアログボックスを開かなくても、ツールバーのリストでビューを切り替えられます。これは便利です。
とても便利な「ユーザー設定のビュー」ですが、ひとつ大きな問題があります。それは、同じブックでテーブルと共存できないということです。テーブルは、Excel 2007で拡張された機能で、範囲をテーブルに変換すると、いろいろ便利なことができます。詳しくは、下記のページをご覧ください。なお、この「テーブル」機能は、Excel 2003までは「リスト」機能をいう名称でした。
ブック内にテーブルが作成されていると、[ユーザー設定のビュー]は実行できません。
どちらも便利な機能なだけに、共存できないのは、非常に残念です。