細かすぎて伝わらない"ふりがな"の編集


この変化に気づいた方は、そうとうExcelを使い込んでいるに違いありません。ほとんどの方は気づかないでしょう。そんな変更点です。

Excelで、セルに漢字を入力すると、その漢字の"ふりがな"がセルに設定されます。設定される"ふりがな"は、日本語変換する前に入力した、いわゆる"読み"です。やってみましょう。まずは、Excel 2013からご覧ください。

標準では、セルの"ふりがな"は表示されていません。"ふりがな"を表示するには、[ふりがなの表示/非表示]ボタンをクリックします。

今、"田中"を"たなか"から変換したので、"ふりがな"として"タナカ"が設定されました。もしこれを"でんちゅう"と入力してから変換したら、設定される"ふりがな"は"デンチュウ"になります。ちなみに、"ふりがな"は標準ではカタカナで表示されますが、ひらがなで表示するよう変更することも可能です。

さて、こうしてセルに設定されている"ふりがな"は、後から好きな文字列に編集できます。やってみましょう。まずはセルを編集状態にします。

セルの内部が2段で表示されます。これは、下段が「セルに入力されている値の領域」で、上段が「"ふりがな"領域」です。

セルという箱の中に、もうひとつ「"ふりがな"専用の箱がある」ようなものです。箱の中に別の箱が入っているイメージですね。さて、セルを編集状態にした後で、"ふりがな"を編集するには、Shift + Alt + ↑(上矢印キー)を押します。

実行すると、"ふりがな"領域が選択されてカーソルが表示されます。この状態で、"ふりがな"を編集できます。

「"田中"に"スズキ"はねーだろ」という突っ込みは置いといて。さて、Excel 2016で変わったのはここからですから、操作と挙動をよくご覧ください。今、Shift + Alt + ↑(上矢印キー)を押して、セルという箱の中にある、もうひとつ別の"ふりがな"という箱を操作しています。ですから、ここでEnterキーを押すと

"ふりがな"領域の箱を閉じます。でも、まだセルという箱の編集は終わっていません。大外にあるセルという箱は開いたまま、つまり編集状態です。セルの編集を完了するには、さらにここでもう一度Enterキーを押します。

セル内の"ふりがな"を編集するには、このようにEnterキーを2回押す必要がありました。

お待たせしました。これが、Excel 2016では、どう変わったのか。

上図は、Excel 2016でセルを編集状態にしたところです。ここで、Shift + Alt + ↑(上矢印キー)を押すと

分かりますか?表示上の違いと言ってしまえばそれまでなんですけど、"ふりがな"領域にカーソルが表示されて"ふりがな"が編集できる状態にはなっていますが、セルに入力されている値である"田中"も選択されているように見えます。ここでは、先と同じように"ふりがな"だけを編集できます。

ちなみに、さらに細かいことを言えば、Excel 2013までの"ふりがな"編集は、単なる日本語入力状態なので、今までは、まず"すずき"と入力してからカタカナの"スズキ"へ変換しなければなりませんでした。画像では分からないでしょうけど、Excel 2016では普通に"suzuki"と打つだけでカタカナの"スズキ"が入力されます。さあ、ここでEnterキーを押します。

"ふりがな"の編集が終わり、"ふりがな"の箱を閉じると同時に、セルの編集も終わります。つまり、Enterキーを2回押さなくてもよくなりました。ちなみに、Shift + Alt + ↑(上矢印キー)で"ふりがな"を編集している状態で、↓(下矢印キー)を押せば、セルの値(ここでは"田中")を編集できます。何とも細かい、しかしナニゲに操作性が良くなった変更点です。しかし、そもそもセルの"ふりがな"を自分で編集するユーザーは、決して多くありません。さらに、ここでご紹介したような機能がExcelに備わっていることすら知らない人が多いでしょう。なので、細かすぎて伝わらない変更点です。