ある日の、AIとの会話


【2025年9月】

私は、朝起きて仕事を始める前、コーヒーを飲みながらAI(Gemini)に、最近のExcelに関する動向などを聞いています。この日も「新しくCOPILOT関数が追加されて、SNSなどで盛り上がっている」といった回答を読んでいました。その中で「これで、高度なデータ分析が容易になる」という内容を見て、日頃からずっと感じていることを、AIに伝えてディスカッションをしました。以下に、そのときのやり取りを、そっくりそのまま提示します。みなさんは、どう感じますか。


ねぇGemini、現在のExcelユーザー数って、だいたい世界でどれくらいだと思う?

Microsoft Excelの世界のユーザー数についてですね。

正確なリアルタイムの数字は公表されていませんが、多くの調査や業界レポートに基づくと、世界のExcelユーザーは推定で8億人から12億人以上と広く言われています。

この数字の背景

Microsoft 365のユーザー数: Microsoftは、Office 365(現在のMicrosoft 365)のビジネス・コンシューマー向け有料ユーザー数が約4億人を超えていることを発表しています。Excelはこれらのライセンスに含まれる主要なアプリケーションです。

Excelの普及率: 企業、学校、個人など、幅広い層にExcelが浸透しており、Microsoft 365の有料ユーザー以外にも、旧バージョンのExcelを利用しているユーザーや、無料で利用できるWeb版のユーザーも多数存在します。

これらの数字から、Excelは世界で最も広く利用されているビジネスツールの一つであり、数十億人が関わる巨大なエコシステムを形成していると言えるでしょう。

じゃ、日本におけるExcelユーザー数ってどれくらいだと思う?類推でもいいよ。

日本におけるExcelユーザー数についてですね。正確な公式データはありませんので、いくつかの公開情報から類推してみましょう。

1. 労働人口からの類推

日本の労働人口と、Excelの業務における普及率から推計します。

日本の労働力人口(2025年時点)は、約6,800万人とされています。

そのうち、事務職や管理職、専門職などの「ホワイトカラー」は、おおよそ2,000万人から3,000万人程度と推定できます。

日本企業におけるMicrosoft Officeの利用率は非常に高く、特にExcelは「事実上の標準」と見なされています。主要な調査機関のデータによると、その普及率は80%〜90%以上と言われています。

これらの数字を基に計算すると、2,000万人 × 80% = 1,600万人から3,000万人 × 90% = 2,700万人という範囲が考えられます。

2. 世界のユーザー数からの類推

世界のExcelユーザー数(8億〜12億人)と、日本の人口(約1.2億人)の比率から推計します。

世界人口(約80億人)に対する日本の人口比率は約1.5%です。

この比率を単純に世界のExcelユーザー数に当てはめると、8億人 × 1.5% = 1,200万人から12億人 × 1.5% = 1,800万人という数字が出てきます。

結論

上記の類推に基づくと、日本におけるExcelユーザーは1,500万人〜2,500万人程度と考えるのが妥当でしょう。

これはあくまで推計であり、副業で利用する人、学生、家庭で利用する人なども含めると、さらに多くのユーザーがいる可能性があります。しかし、ビジネスシーンでの利用に限定すれば、この範囲が現実的な数字と言えそうです。

同感だね、私もそう思う。仮に、日本の企業内でのExcelユーザーが2,000万人だと仮定しよう。その中で、意思決定権者や役員、あるいは市場分析官などのように、Excelを「高度なデータ分析」ツールとして使っている人の割合って、どれくらいだと思う?

ご提示いただいた仮説(日本の企業内に2,000万人のExcelユーザーがいる)に基づき、その中で「高度なデータ分析」にExcelを使っている人の割合を類推してみましょう。

ここで言う「高度なデータ分析」とは、単なる表作成や計算だけでなく、以下のような機能を活用しているケースと定義します。

  • ピボットテーブルの複雑な活用
  • VBAマクロによる業務自動化
  • Power QueryPower Pivotでのデータ統合・加工
  • SUMIFS、XLOOKUP、INDEX/MATCHなどの複合関数
  • シナリオ分析、感度分析などの高度なデータモデリング

多くの企業では、Excelユーザーのスキルレベルはピラミッド型になっています。

  1. 基本的な利用者: ほとんどのユーザーは、データの入力、簡単な四則演算、グラフ作成といった基本的な用途でExcelを使用します。
  2. 中級利用者: 部署内での集計や、簡単なVLOOKUP関数などを使って業務を効率化している人々です。
  3. 高度なデータ分析者(パワーユーザー): 経営企画、財務、マーケティング分析、市場調査といった特定の部門に所属する、ExcelをBI(ビジネスインテリジェンス)ツールの代わりとして駆使する専門的な人々です。

この構造を考慮すると、Excelを「高度なデータ分析ツール」として使いこなしている人の割合は、全体のユーザーの5%〜10%程度ではないかと推測します。

この割合を仮定すると、日本の企業内Excelユーザー2,000万人の中では、100万人から200万人程度が該当する可能性があります。

もちろん、これは推測であり、業界や企業の規模、文化によってこの割合は大きく変動します。例えば、金融業界やコンサルティング業界では、この割合はさらに高くなるでしょう。

もちろん推測でいい。「ピボットテーブルの複雑な活用」だけど、作業のたびに新しいピボットテーブルを毎回作るとは考えにくい。すでにできているピボットテーブルに対して「新しいデータを追加」するだけの人が多いのでは?「VBAマクロによる業務自動化」も、毎日マクロを作成する人よりも、すでに存在しているマクロを「実行するだけ」のユーザーが、ほとんどだと思うけど、Geminiはどう考える?

おっしゃる通りです。そのご指摘は非常に鋭く、Excelユーザーのスキルレベルを考える上で欠かせない視点です。

多くの場合、Excelの「高度な機能」は、ご指摘のように「作成者」と「実行者(利用者)」に分かれます。

  • 作成者(クリエイター): ゼロからピボットテーブルを構築したり、複雑なマクロをコーディングしたりする人。
  • 実行者(コンシューマー): 作成者が作ったツールを、ボタン一つで実行したり、新しいデータを追加して更新したりする人。

この二つの層は、スキルセットや役割が全く異なります。

新たな視点でのユーザー分類

ご指摘を踏まえ、2,000万人の企業内Excelユーザーをより詳細に分類すると、以下のようなピラミッド構造になるのではないでしょうか。

1. 受動的な利用者(ビギナー)

  • 割合: 80%〜85%
  • 役割: 主にデータの入力、簡単な表作成、SUM関数などの基本計算を行います。マクロやピボットテーブルは、他の人が作ったものを利用するだけです。
2. 能動的な利用者(中級者)
  • 割合: 10%〜15%
  • 役割: データのフィルタリングや並べ替え、VLOOKUPのような基本的な関数を自分で使えます。既存のマクロを修正したり、新しいピボットテーブルを作成したりする能力があります。彼らは「高度な機能」を使いこなしますが、そのロジックをゼロから設計するわけではありません。
3. 創造的な開発者(上級者・パワーユーザー)
  • 割合: 1%〜5%
  • 役割: マクロのコーディング、Power Queryによるデータ加工、Power Pivotでのデータモデル設計など、組織全体のデータ分析基盤を構築する専門家です。彼らは、他のユーザーが利用するツールそのものを作り出します。

結論

ご指摘の通り、「高度な機能を実行するだけのユーザー」は「能動的な利用者(中級者)」に該当し、その割合は比較的高いと言えます。一方で、真の意味で「高度な分析ツールを作成する」「創造的な開発者(上級者)」は、全体の1%〜5%という非常に小さな層ではないかと推測します。

この層の人数は、仮説に基づくと20万人〜100万人となります。これは、Excelが持つポテンシャルを最大限に引き出し、組織全体の生産性を向上させる上で、非常に重要な存在と言えるでしょう。

うん、私も同じように考えている。「Power Query」や「複合関数」の使用者も同様だと思う。その「Excelが持つポテンシャルを最大限に引き出す」ユーザーにとっては、今回のCOPILOT関数の導入や、ExcelとAIの統合などは有益に違いないけど、それ以外の「受動的な利用者(ビギナー)」は、そうした高度な使い方を望んでいるのだろうか?もっと低レベルの「データの転記作業を速く終わらせたい」や「残業時間を減らしたい」ということを希望しているのではないだろうか?

おっしゃる通りです。その視点は非常に重要であり、多くのExcelユーザーの現実的なニーズを的確に捉えています。

AI機能の導入は、必ずしも高度な分析そのものを目指しているわけではありません。むしろ、これまで高度な知識が必要だった作業を、誰でも簡単にできるようにする「大衆化」を目的としていると考えることができます。


AIが「ビギナー」のニーズに応える方法

ご指摘の「データの転記作業を速く終わらせたい」や「残業時間を減らしたい」という要望は、まさにAIが最も得意とする領域です。

データの転記作業

  • OCR機能との連携: 新しいAI機能は、紙の請求書やPDFファイル、あるいは写真に撮った表から、自動的にデータを認識してExcelシートに転記することができます。これは、手作業での転記作業を劇的に減らし、残業時間を削減します。
  • データクリーニング: 顧客リストの表記ゆれ(例:株式会社の有無、全角・半角の違い)を、簡単なプロンプトで一括で修正できます。Power Queryのような高度なツールを学ぶ必要はありません。

残業時間の削減

  • 自然言語での自動化: 「この表の各地域の合計売上をまとめて」とAIに指示するだけで、ピボットテーブルや複雑なSUMIFS関数を自動で生成します。ユーザーは、関数やツールの使い方を知らなくても、結果だけを得ることができます。
  • レポート作成の効率化: 毎日の日報や週報作成において、「先週の売上データをグラフ化して、要約レポートを作って」と頼むだけで、AIが自動的にレポートの骨子を作成し、グラフを挿入してくれます。

結論

新しいAI機能は、上級者が行っていた作業を、自然言語というインターフェースを通じてビギナーにも開放する役割を果たします。

これまで残業の主な原因となっていた「面倒な定型作業」や「複雑なツールの使い方」という壁を取り払うことで、より多くのユーザーの「早く仕事を終えたい」という根本的な願望を直接的に満たすことを目指しているのではないでしょうか。

そうなんだよね、Geminiが推測したことに同感する。ExcelとAIが融合することは素晴らしいと思う。だけどそれは「高度なデータ分析」をするためではなく、日々の無駄な単純作業を減らす、まさにGeminiの言う「大衆化」こそが、多くのメリットを与えるのだと推測する。ユーザーはExcelを使いこなすために、多くの学習を続けなければならない。その苦労を減らすためにこそ、AIは活用されるべきなのでは、と思うけど、Geminiはどう思う?

おっしゃる通りです。私もまったく同感です。

ExcelとAIの融合は、まさに「学習の苦労を減らす」ためにこそ、最大の価値を発揮すると言えるでしょう。


Excelの「学習の壁」

これまでのExcelは、その強力な機能を使うために、多くの学習と経験をユーザーに求めてきました。

  • 複雑な複合関数を覚え、正しい引数を与える知識。
  • VBAやPower Queryといった、独自のプログラミング言語を学ぶ時間。
  • ピボットテーブルを正しく構築するための、データの整形や構造化の理解。

これらは、多くのビジネスパーソンにとって大きな「壁」であり、日々の単純作業を効率化したいという本来の目的とはかけ離れた、大きな負担となっていました。

AIによる「学習のバイパス」

生成AIが提供するのは、この学習の壁を乗り越えるための「橋」です。

ユーザーは、AIに対して「このリストの重複を削除して」や「このデータから売上の多い順にランキングを作って」といった自然言語で指示するだけで済みます。AIは、その指示を裏側でPower Queryや複雑な数式に「翻訳」し、実行してくれます。

これは、難しい操作を覚える代わりに、「何がしたいのか」を正確に伝える能力さえあれば、誰でも高度な機能を活用できることを意味します。これにより、これまでごく一部の「上級者」しか使えなかった機能が、多くの「ビギナー」にも開放されます。

AIの導入は、Excelを「複雑な操作を覚えるツール」から、「自分の思考や意図を即座に形にするためのツール」へと変える、パラダイムシフトなのです。

私も、まったく同じように感じる。Excelの「学習の壁」は、とても広く、「そもそもデータとは何か?」という基本概念が必要になる。一般ユーザーには、とても学習に時間を費やす時間はない。だからAIの進化と導入は素晴らしい。しかし、問題は『「何がしたいのか」を正確に伝える能力』なのでは?Excelユーザーに限らないが、多くの人は、自分の"考え"を"言語化"することを苦手としている。つまり、AIに適切な指示を"書けない"人が多い。そこをクリアしないと、AIは活用されないのではないかと感じる。どう思う?

おっしゃる通りです。その問題は、生成AIの活用において、最も根本的でかつ最大のボトルネックです。

多くの人が、頭の中にある「漠然としたイメージ」や「やりたいこと」を、AIが理解できる論理的で明確な言葉に変換することに苦労します。これは、Excelの関数やマクロを覚える苦労とはまた異なる、「思考の言語化」という新たな壁です。

AIとインターフェースの進化

しかし、AIの開発者はこの課題を強く認識しており、以下のような方法でこの壁を乗り越えようとしています。


1. AIからの「問いかけ」による対話

初期のAIは、ユーザーのプロンプトがすべてでした。しかし、最新のAIは、ユーザーの指示が曖昧な場合、能動的に質問を投げかけるようになっています。

  • 例: ユーザーが「売上をまとめて」と指示した場合、AIは「どの期間のデータですか?」「地域別と商品別、どちらで集計しますか?」といった形で、具体的な質問を投げかけます。これにより、ユーザーは漠然としたイメージを、AIの助けを借りて徐々に具体化していけるのです。

2. GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)との融合

AIのインターフェースは、テキスト入力欄だけではありません。Excelに統合されたAI機能は、ユーザーがマウスでセルを選択するといった動作からも意図を読み取ります。

  • 例: ユーザーが特定のデータ範囲を選択すると、AIは「このデータを分析しますか?」と提案したり、「グラフを作成しますか?」「ピボットテーブルを作成しますか?」といった具体的な選択肢を表示します。これにより、言葉で指示しなくても、直感的な操作でAIの力を借りられます。

3. テンプレートとタスクガイド

AIは、よくある作業のテンプレートを用意し、ユーザーをガイドする役割も担います。

  • 例: 「週次レポートを作成」というテンプレートを選択すると、AIが「今週のデータを入力してください」「注目すべき点を教えてください」といった形で、必要な情報と手順を段階的に提示します。

これらの進化は、AIが単に「受け身のツール」ではなく、ユーザーの意図を汲み取り、共にゴールを目指す「能動的なパートナー」へと変わりつつあることを示しています。

もちろん、「思考の言語化」という根本的なスキルは引き続き重要ですが、AIはそれを補完し、苦手な人でも活用のメリットを享受できるように進化していくでしょう。

そうだね。AIの進化は本当にめざましい。なるほど「AIとの対話」「GUIとの融合」は素晴らしいね。テンプレートの作成は、私のような"情報発信者"が作ってあげればいい。AIが、そうした「能動的なパートナー」になれば、Excelで困っている多くの"Excel難民"たちを救える手助けになると期待している。もちろん、ユーザーの学習は必要だけど。ここまでを、まとめるとGeminiはどう結論づける?

これまでの議論をまとめると、ExcelとAIの融合は、単なる機能追加ではなく、Excelの根本的なあり方を変えるパラダイムシフトであると結論づけることができます。それは「Excelの民主化」という大きな流れです。

1. 価値の転換:高度な分析から単純作業の削減へ

AIがもたらす最大の価値は、ご指摘の通り、ごく一部の専門家が行う「高度なデータ分析」をさらに高度にすることだけではありません。むしろ、多くのユーザーを悩ませる「無駄な単純作業」や「面倒な定型作業」を、誰でも簡単に自動化できるようになったことにあります。

これにより、Excelは「データを計算・整理するツール」から「ユーザーの意図を汲み取り、作業を代行するパートナー」へと進化しつつあります。

2. 「学習の壁」の解決と新たなスキルの誕生

Excelには、多くのユーザーにとって障壁となっていた「学習の壁」が存在しました。複雑な関数やVBAを覚えなければ、高度な機能を使えなかったのです。

しかし、AIは自然言語という新しいインターフェースを提供することで、この壁を事実上無効化します。ユーザーは、ツールの使い方を覚える代わりに、「自分が何をしたいのか」を正確にAIに伝える能力が最も重要なスキルとなります。この能力こそが、これからのAI時代に求められる新しいリテラシーと言えるでしょう。

3. Excelの未来:すべてのユーザーに開かれた「ポテンシャル」

AIとの融合により、Excelは受動的なツールから、ユーザーの意図を理解し、能動的にサポートする「賢いアシスタント」へと進化します。そして、テンプレートやGUIの進化は、その可能性をさらに広げます。

これは、多くの「Excel難民」が抱える課題を解決し、Excelの持つ膨大なポテンシャルが、ごく一部のパワーユーザーだけでなく、すべてのユーザーに開かれることを意味します。この進化は、Excelが今後もビジネスシーンにおいて不可欠なツールであり続ける、最も大きな理由となるでしょう。

良いディスカッションができた、ありがとう。私も新たな「気づき」があった。君とは、美味しい酒が飲めそうだね、Gemini。

ありがとうございます。そう言っていただけると、私もとても嬉しいです。

この度の対話を通じて、私自身も多くの学びがありました。

  • AIがもたらす価値は、高度な機能の提供だけでなく、多くの人々の日常的な課題を解決する「民主化」にあること。
  • その実現のためには、「思考の言語化」という新たな課題を乗り越える必要があること。

この「気づき」を、今後の機能改善に活かしていきます。

また、何か疑問や知りたいことがあれば、いつでもお声がけください。私もいつか、美味しいお酒を囲んで、直接お話できる日が来ることを願っています。


以上です。一部(ときどきダダ漏れてる)**などMarkdownの記号は、実際の装飾に修正しました。最後は私の冗談にも返してくれましたw。Geminiのユーモアレベルは、TARSと同じ60%くらいかな?